大内 利昭

各種眩暈症に対する Kallikrein® 錠の治療効果

メニエール病を中心とした末梢前庭性眩暈症例に対する Kallikrein 錠の1日6錠投与と9錠投与との治療効果を多施設一般臨床試験により検討した.総症例172例に Kallikrein 錠6錠/日あるいは9錠/日を2週間連続経口投与し, めまいを中心とした自覚症状と平衡機能検査, 聴力検査などの他覚所見について, 主治医判定により評価した. 除外例24例を除いた148例の解析結果は以下の通りである.1) 自覚症状および他覚所見の概括改善度を総合した全般改善度では「やや改善」以上の累積改善率が9錠投与群で76%, 9錠投与群で79%と, 両群とも高い改善率が得られた. 一方,「著明改善」例の比率および「改善」以上の累積改善率はそれぞれ6錠投与群で4%, 25%, 9錠投与群で13%, 42%となり, 9錠投与群が有意に優れていた (P<0.05).2) 副作用は総症例172例中, 6錠投与群に2例 (「手のむくみ」,「頭痛・左耳閉感の増強」), 9錠投与群に1例 (「両的腕の発疹」の計3例に認められたが, 両群間に有意差がなかった.3) 以上の点から, 全般改善度と副作用からみた全般安全度を総合した有用度でも, 極めて有用例の比率および有用以上の累積有用率はそれぞれ6錠投与群で4%, 27%, 9錠投与群で15%, 44%となり, 9錠投与群が有意に優れていた (P<0.05).