Hiomi Homma

A study of lung cancers with the onset of neurological disorders.

過去8年間の原発性肺癌368例中, 神経症状で発症した肺癌は, 43例 (11.9%) であり, このうち, 組織診のある35例について, 診断, 治療の問題点を検討した.片麻痺で発症する症例が14例と最も多く, その他, 種々の多彩な神経症状を認めた.単発脳転移16例中15例が転移巣摘出術を受け, その後, 4例が原発巣の肺葉切除術を受けた.種々の神経症状で発症する肺癌があることに留意し, その治療には, 開頭手術を含めた集学的治療が必要である.

A case of small cell carcinoma of the lung with neurological symptoms due to intramedullary metastasis.

65才男性.左下肢しびれ感と筋力低下で発症し, 下半身麻痺へと進行した.左中肺野に腫瘤影を認め, 皮下腫瘤の生検で低分化の癌細胞を検出したが, 下半身麻痺との関係は不明であった.剖検では, 左肺S4原発の中間細胞型小細胞癌の腰髄内転移を認めた.脊髄内転移は極めて稀であり, その転移症状が初発症状であったことは興味がある.肺癌に神経症状を伴う時, 脊髄内転移の可能性も念頭に置くべきである.

A Case of Lung Cancer with Diffuse Leptomeningeal Carcinomatosis: An Inquiry into the Route of Spreads to Meninges

才の女性.嘔吐・意識障害で入院.臨床症状・所見および胸部X線像から左S1+2原発性肺癌およびその髄膜・左胸膜.脊椎転移と診断.剖検で左S1+2c原発の肺腺癌, 髄膜・左胸膜・脊椎転移を確認.神経根の脊椎静脈内に著しい癌細胞浸潤がみられた.一般に肺癌の髄膜転移は脳転移の約1/10で少なく, 髄膜転移症例は脊椎・腹膜・胸膜転移のいずれかがみられるというわれわれの調査結果と合わせ髄膜への転移経路として脊椎静脈系の重要性を指摘した