Hiroyuki Kuramoto

Effectiveness of mass screening for endometrial cancer.

OBJECTIVEnTo investigate the effectiveness of mass screening for endometrial cancer using Endocyte (Laboratoire CCD, Paris, France) endometrial smears.nnnSTUDY DESIGNnThe study subjects were consecutive patients with documented endometrial cancer diagnosed between January 1, 1989, and December 31, 1997, at 22 hospitals in Japan. One hundred twenty-six cases were detected by mass screening and 1,069 diagnosed in outpatient clinics. We compared the stage of cancer at diagnosis and survival rate of patients in the two groups.nnnRESULTSnEarly stage was significantly more frequent in the screening group (P < .001); stage I comprised 88.1% of the screening group as compared with 65.3% of the outpatient group. Well-differentiated adenocarcinoma was significantly more frequent in the screening group (P < .01); grade 1 constituted 74.7% of the screening group as compared with 61.0% of the outpatient group. The five-year survival rate was significantly higher in the screening group than in the outpatient group (94.0% vs. 84.3%, P = .041). The crude hazard ratio (HR) of dying of endometrial cancer for the screening group as compared to the outpatient group was .47 (95% CI .22-.99, P = .048). HR became .96 (95% CI .45-2.08, P = .925) after adjustment for age, study area and cancer stage.nnnCONCLUSIONnThe results suggest that an endometrial cancer screening program would lead to early detection and improved survival among women with endometrial cancer.

Ovarian stromal Leydig cell tumor with prominent crystalloids of Reinke. Report of a case.

多数のReinke crystalを有する卵巣間質性ライディク細胞腫を経験したので, その組織所見と捺印細胞所見を報告する.組織学的には, 線維腫様の腫瘍組織の中に, 好酸性の豊富な細胞質と多数のReinke crystalを有するライディク細胞が, 島状に増生していた. また, 小範囲の粘液性腺腫を合併していた. 捺印細胞診標本上に出現した細胞は,(1) 結合性が粗で, N/C比の高い長円形の核を有する紡錘状の細胞,(2) ライトグリーンのやや豊富な細胞質と類円形の核を有し, 重積性ある集塊を形成する細胞,(3) 核が偏在し, 柵状配列を示す細胞, の3種類である.(2) の細胞集塊の中にオレンジGに好染する細長い結晶 (Reinke crystal) が多数出現していた.

Cytological study of endometrial cell cluster

エンドサイトを用いて採取された無病正常例354例の内膜細胞診標本を詳細に観察し, 子宮内膜腺細胞塊normal glandular cell cluster (n-GCC) と子宮内膜間質細胞塊normal stromal cellsheet (n-SCS) に注目し, これを規定した. また, 内膜細胞診標本1枚あたりにみられたn-GCC, rSCSの出現数, 出現頻度を検討し, 以下の結果を得た.(1) 年齢別に検討したところ, n-GCCは20歳代, 30歳代, 40歳代において出現数, 出現率ともに多く認められ, 50歳代以後では有意に漸減していた (p<0.01). n-SCSも同様減少したが, 60歳以後で, n-GCCに比べ一年代遅かった (p<0.01).(2) 性周期別に検討した177例では, 分泌期に比べ増殖期でn-GCCの判別が容易であり, 出現数も有意に多かった (p<0.025). (3) 閉経前後で検討した270例では, 閉経後n-GCCの平均出現率が1.7個であり, 閉経前10.1個に比べ著しく少なかった (p<0.01).以上, 正常内膜細胞診に出現する細胞塊をn-GCC, n-SCSとして把握し, 年齢, 性周期, 閉経の有無によるそれらの出現パターンを理解しておくことは, ともすれば細胞診断が難しい子宮内膜異型増殖症や分化型子宮内膜癌の早期発見に役立つ基礎的資料となり得ると考える.

Cellular manifestation of uterine leiomyosarcoma combined with epithelioid clusters. Report of a case.

上皮様結合を示す腫瘍細胞集塊が出現したために, 捺印細胞診による組織型の推定診断が困難であった子宮体部平滑筋肉腫を経験した. 症例は34歳, 1回経妊未産の女性で, 月経不順, 立ち眩みなどを主訴に来院し, 子宮筋腫を指摘され, 手術目的で入院した. 術中迅速組織診にて悪性と診断, 摘出標本からの捺印細胞診が施行された. 腫瘍細胞として, 上皮様結合を示し乳頭状に配列する腺癌様細胞と, 孤立散在性に出現する紡錘形細胞や巨細胞の肉腫様細胞が認められたため, 当初ミュラー管混合腫瘍を考えた. しかし, 免疫細胞化学的に腺癌様細胞ならびに肉腫様細胞はデスミン, ビメンチンおよび平滑筋アクチンがいずれも陽性であり, ミオグロビン, CEA, EMAおよびSCがすべて陰性であったことより, これらの腫瘍細胞は同一系統で平滑筋由来であると判断した. パパニコロー標本を再検討した結果, 腺癌様細胞と肉腫様細胞は核縁が薄いことやクロマチンが細かい点で類似性が認められた. 以上より, 平滑筋肉腫の捺印細胞診では, 腫瘍細胞が集塊で出現する場合もあるため, 核縁およびクロマチンパターンなどの所見を総合して組織型の推定を行うことが重要であると思われた.

A case of serous surface papillary carcinoma.

腹膜表面漿液性乳頭状腺癌 (Serous surface papillary carcinoma: SSPC) 例まれな腫瘍であり, 臨床的な診断例困難であるとされている. われわれ例第一癌の子宮頸癌より16年, 第二癌の乳癌より5年経て, 腹部膨満感を主訴に発症した症例で, 剖検によりSSPCと診断し得た症例を経験したので, 細胞所見と病理所見に若干の文献的考察を加えて報告する. 腹水穿刺細胞診で例, 腫瘍細胞例集積性著明な乳頭状細胞集塊を形成して出現している. 核例大小不同と多形性に富み, クロマチン分布例微細顆粒状で, 小型の核小体を1～2個認める. 細胞質例比較的乏しく, ライトグリーンに好染し小空胞を有するものも認められたが, PAS染色例陰性であった. 剖検時肉眼的に例, 腫瘍例腹膜面全体に大小の結節を形成していたが, 卵巣例ほぼ正常大であった. 組織学的に例, 卵巣原発の漿液性乳頭状腺癌の形態をとりpsammoma bodyを有していたが, 両側卵巣に例表在性の腫瘍しかみられなかった.また, 一部に組織型の異なる肉腫様増殖部分を認めた. 電顕ではtonofilamentが少なかった.

Endometrial serous adenocarcinoma: cytological findings of 3 cases.

子宮体癌のなかで漿液性腺癌はまれなものであるが, その予後は一般の体癌に比し不良であることが指摘されている. われわれは273例の体癌の中で3例の漿液性腺癌を経験したので, その細胞所見を報告する. 3症例の年齢は56歳, 53歳, 64歳であった. FIGO進行期は3症例ともIIIA期であった. 2例に腹水を認めたが, これらの症例も含めて全例腹腔細胞診陽性であった. また1例では卵巣への転移を認めた. 全例手術および化学療法を施行し, 最近の2例は生存中であるが, 1例は術後14ヵ月で再発死亡した.3例のうち筋層浸潤を認めた2例の内膜細胞所見の背景は血液, 壊死物質で汚染され, 正常内膜細胞の出現はみられなかった. しかし, 筋層浸潤のなかった1例では背景はきれいで, わずかに正常内膜細胞の出現を認めた. 腫瘍細胞は大小種々の重積性著明な乳頭状集塊を形成して出現しており, 腺管構造は目立たなかった. 集塊周囲には孤立性の腫瘍細胞も少数認めた. 腫瘍細胞の核はクロマチンが増量し, 大小不同性が著明であり, 核縁は肥厚し, 大型の核小体を1-2個有していた. 細胞質は比較的少なく, 一部には空胞を有しているものもあった. N/C比の高いのが特徴的であった. Psammoma bodyはいずれの検体にもみられなかった. 腹腔細胞診にも同じ細胞が乳頭状の集塊を形成して出現していたが, 内膜細胞診より集塊は小さく細胞質内の空胞形成傾向が強かった.画像解析システムを用いた核面積の検討を2症例について行った. 症例1および症例2の核面積は103.8±56.3μm2,119.0±44.5μm2と大型で, 核の大小不同が著明であった.内膜細胞診における卵巣原発漿液性腺癌との鑑別の要点は,(1) 腫瘍壊死性背景,(2) 細胞集塊が大きいこと,(3) 正常内膜細胞がほとんどみられないこと, であった.

Adenosquamous carcinoma in situ of the cervix

Adenosquamous carcinoma in situ (AIS +CIS) of the uterine cervix is a rare lesion. However, the lesion may be overlooked due to the well-established cytologic findings of CIS component, whereas AIS has not been studied thoroughly.The cyto- and histo-pathologies of our case have been described in comparison with those in the literature cases. Our cytologic observations include clusterizations of cells with occasional acinous or palisading arrangement, abundant lacy or vacuolized cytoplasm with pleomorphism and a small but marked nucleolus in a fine granular nucleus. When these findings are observed in addition to typical CIS cells, the possibility of AIS +CIS should be estimated.Literature review is also made concerning the incidence, relation to pregnancy, opinions for diagnostic criteria and the histogenesis of the tumor.