Kouji Toyomasu

3次元型睡眠尺度（3 Dimensional Sleep Scale: 3DSS）―日勤者版―のカットオフ値について：ピッツバーグ睡眠質問票（Pittsburgh Sleep Quality Index: PSQI）による睡眠障害判定を用いた検討

NHKが行っている国民生活時間調査の40年間に及ぶ 調査の中で,一,二を争う発見は睡眠時間の減少である といわれている 1).睡眠外来においては,睡眠時間の減 少に加えて睡眠位相の後退による概日リズム睡眠障害 もここ十数年前から問題となってきており,これらは時 代の流れによる新しい睡眠障害といわれている 2).こう した現代における睡眠問題へ対応するために,我々は 2014年に3次元型睡眠尺度(3 Dimensional Sleep Scale, 以下3DSS)-日勤者版-という新しい睡眠尺度を開発 した 3).従来の睡眠尺度はほぼ睡眠の質的問題・量的問 題に限定し,かつ両者を合わせた総合点で睡眠の評価 を行うものが主流であった.我々の開発した3DSSは24 時間型社会特有の睡眠の位相的問題まで網羅し,さら に位相・質・量を別々に点数化し個人の睡眠状態を評 価できる尺度である.位相・質・量すべて0点から15 点満点で評価し,点数が高いほど睡眠状態が良好であ ると判断する.本尺度を現場でより活用するためには 睡眠障害に対する感度・特異度を求めカットオフ値を 検証していくことが必要とされる.その第一段階とし て,我々はピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index,以下PSQI)4, 5)の判定に基づいた睡眠障 害の有無を用いて3DSSの推奨されるカットオフ値につ いて追加検討を行ったので報告する.