Naokazu Sakota

Hydrolysis of the Telomers of Vinyl Acetate with Carbon Tetrachloride

酢酸ビニルと四塩化炭素とのテロメル化反応によって生じたテトラクロルポリアセトキシアルカン混合物から,1,3,3,3-テトラクロルプロピルアセテート(TPA,1:1付加物)および1,5,5,5-テトラクロルアミル-1,3-ジアセテート(TADA)を単離し,水,エタノール,2,4-ジニトロフェニルヒドラジンおよびヒドロキシルアミンとの反応性をしらべた。その結果TPAは3当量の酸を遊離して比較的水に安定な3,3-ジクロルアクロレインになり,TADAは5,5,5-トリクロル-3-アセトキシバレルアルデヒドに加水分解されることがわかった。したがってこれらの化合物はモノクロル末端から容易に加水分解されるものと考えられる。またTPAはエタノールと加熱還流することによってβ,β-ジエトキシプロピオン酸エチルになり,さらに加熱によってβ-エトキシアクリル酸エチルになることが明らかとなった。

Emulsion Polymerization of Some Vinyl Monomers with the Initiator of Hydrogen Peroxide-Glyoxal

過酸化水素-グリオキサール系触媒によるスチレン, アクリル酸ブチル, および酢酸ビニルの乳化重合において, グリオキサールが重合速度, および重合度に及ぼす影響を検討した。スチレン, およびアクリル酸ブチルでは重合速度は増加するが, 重合度は小さくなり, 酢酸ビニルでは, 重合速度と重合度とがともに大きくなるのが認められた。グリオキサール存在下に得られたポリ酢酸ビニルでは, 1分子中にほぼ1個のアルデヒド基が定量されることから, その重合度が大きくなるのはポリマー分子中のグリオキサール残基からの重合再開始によるものと考えられる。このようなグリオキサールの効果は過酸化水素との1: 1化合物であるβ-ハイドロパーオキシ-β-オキシ-α-オキソエタン〓の中間的形成によるものと考えられる。