Satoshi Nasu

VOCABULARY OF CRITICAL REVIEW IN SAPPORO URBAN DESIGN AWARD

1-1研究の背景と目的 建築や都市空間に対する批評は、学術界や職能団体など様々な側 面から行われているが、その中で公共的に行われる顕彰制度におけ る批評は、公共的に誘導される建築や都市空間のあり方が表れるも のとして、広く市民に対する価値観の提示という役目を帯びている と考えられる。建築単体と異なり都市空間は、例えば住民協定、地 区計画、建築協定など、限られた設計者や事業者のみでなく、地権 者、利用者も含めた多くの人々が関わり、影響を及ぼすような創造 や活用が行われ、そのためには、都市とそれを構成する要素の価値 が共有されることが考えられ、その内容は都市景観といった広範な 概念の中で把握することが可能であると考える。札幌市都市景観賞 は、札幌市における景観施策の一つとして、1983 年から隔年で開 催されてきた顕彰制度である。札幌市都市景観賞要綱の第1条の中 に「良好な都市景観の創造及び保全(以下、「都市景観の形成」と いう。)に関する市民及び事業者の意識の高揚を図り、もって札幌 らしい個性的で魅力的な都市景観の形成を推進することを目的とす る。」とあるように、魅力的な都市景観の形成を促すための誘導的 役割を担っている。1983 年より開催されている本賞は、隔年で過 去 14 回にわたって行われており、札幌市の良好な都市景観を誘 導する事業としてどのような価値観が提示されているかを全体とし て捉えることは、今後の札幌市の建築や都市空間のあり方を考察す る上で意義あるものと考える。 札幌市都市景観賞の現在の選考過程は表1に示すようになってい 札幌市都市景観賞の審査評における批評言語