Sengai Tanaka

Seventeen Cases of Rectal Carcinoid : With Special References to its Surgical Treatment

教室と関連病院で経験した直腸カルチノイド17症例の特徴を調べ, 治療法について検討した.男女比は1: 1, 平均年齢51に9歳であり, 占居部位では肛門縁より5-8cmに68.8%が集中していた.腫瘍径10mm未満が8例, 11～19mmが5例, 20mm以上が4例であり, 19mm以下の13例は全例無茎性で深達度smであった.術式はポリープ摘除術5例, 腫瘍摘除術5例, リンパ節郭清を伴う根治術7例であった.腫瘍径別にみると10mm未満ではポリープ摘除術5例 (62.5%), 10～19mmでは全例に腫瘍摘除術が, 20mm以上では全例に根治術が施行されていた.17例中死亡例は, 50mm大でリンパ節転移を伴う2例のみであった.自験例および文献的考察から10mm未満ではポリープ摘除術か腫瘍摘除術, 20mm以上ではリンパ節郭清を伴う根治手術が適当と考えられた.一方, 10～19mmについては腫瘍摘除を行い, 深達度と脈管侵襲の有無から根治手術も考慮すべきである.

A case of biliary cystadenocarcinoma diagnosed by liver aspiration biopsy under ultrasonographic guidance.

肝のcystadenocarcinomaは非常に稀な疾患である.今回我々は,これまで報告された中で最も小さな肝cystadenocarcinomaで,画像診断及び超音波誘導下吸引細胞診にて術前診断し,肝左葉切除術で根治せしめた1例を報告する.患者は55歳女性.心窩部痛,右背部痛と嘔吐を主訴に入院.理学所見上,右鎖骨中線上に肝を一横指触知する以外異常なし.血液生化学的には,GPT 37K. Unit, ALP 12.3K.A. Unit, γ-GTP 94IU/l, LAP 398G.R. Unitと軽度の肝機能上昇を認めたが,CRP陰性,AFP 4.7ng/ml, CEA 1.4ng/mlと正常範囲内にあった.腹部超音波検査,肝CTスキャンにて肝左葉内に,内腔に隔壁と複数の乳頭状突起を伴う小さなcystを1つ認めたため,超音波誘導下吸引細胞診を施行し,class Vを得,根治を目的に肝左葉切除術を行なった.切除標本より画像診断に一致した3.5×3.5×2.0cmのcystを認め,その病理組織所見は比較的よく分化した肝cystadenocarcinomaであった.