Shinobu Yabu

Potential for the Restoration of Uncovered Stand Floor Vegetation Caused by the Trampling of Secondary Stands of Quercus serrata in a Suburban Area of Tokyo

In this study, we carried out an experimental restoration of the floor vegetation of the secondary stands of Quercus serrata which became uncovered caused by trampling. The study sites were located in a suburban district of Tokyo, and the experiment was carried out from June to September in 1998. We collected data before the restoration compared them with those obtained at the end of three-month experiment period. The results revealed that the height and the coverage of herb layer did not change significantly. However, the number of recorded species in herb layer increased after the restoration and it showed a correlation with the area of the studied stands and with the calculated stand area available per person living within 250 meters of the examined stands. Furthermore, the number of trampling intolerant species having non-rosette and non-turf forms, considered as characteristic species of the secondary Q. serrata stands, increased after the restoration. This also correlated with the area of Q. serrata stands around the examined stands that existed in 1974. These relations show that not only the area of the present stands but the past landscape in their surroundings should be incorporated as an index when evaluating restoration potential of stand floor vegetation.

Analysis for the Thermal Environment of the Wooden House Room under the Sod Planted Roof

The influence on indoor thermal environment under the sod covered roof was studied. The roof was covered by the soil with a thickness of 100mm and turf grass. Continuation observation of air-temperature, globe-temperature, humidity and wind-speed has done in the room of the third floor (attic room), and the room of the first floor in the mid summer season of 2003 and 2004. The results evaluated using Fangers PMV index shows that there is no big difference in the thermal environment of the third floor and the first floor. Since the surface of an attic cools the interior of a room effectively, indoor thermal environment of the third floor was kept comfortable. When the simulation of the difference from an ordinary roof (rock-wool slate roofing) was carried out, it turns out that the load of indoor air-conditioning becomes about 1/21.

Relationship between Shape-archtecture of Miscanthus sacchariflorus Community and Bio-diversity of the Thysanopteran Insects on Banks within Urban Area

1.は じめに 生物 多様性 の保全は地球規模 の課題 となって いる。陸生生物の 多 くは,植 物の生育する空 間が生息 に不可欠 な要素 とな っている。 そのため,都 市 部河川敷 などに代表 される緑地空間 において,こ れを計画 的に配 置,管 理育成 そ して誘導 して,多 様 な生物が生息 す る空間を創出,復 元す る こ とに対 す る意識 は高 ま って きてい る1)。 しか し,昆 虫類 につ いて言 えば,河 川敷 のどのよ うな空間 的特 徴を備えた緑地,特 定植物群 落上,お よびその近隣陸空域 に どのよ うな性 質の種が生息 しうるかは,甲 虫類2,3),直翅類4),蜻 蛉類5)な どの一 部 グループに含 まれる大(中)型 昆虫群以外で は 十分に調 査,報 告 されていない6)。 このような現状 は,生 物多様 性の保全 を 目的 に置いた従来 の緑 空間整備理念 その ものが骨抜 き であ ることを露呈 し,「選別主義 的 自然保護」 を助 長 す るよ うに 思われ る。 したが って,特 定 の大型種群 の調査結果 か ら推察 され る,生 物の生息 に好適 な河川敷緑地 の配置 および管理育成 の方向 性が,一 般に どの程度 の普遍 的効果や妥 当性 を持っ のかを検討, 実証す ることは急務であろ う。 さらにまた,河 川敷緑地 の昆虫群 集調査にお いて は,特 定 の個 体群や分類階級群 に内在 する適応度 に直接的に関与す る(中 立 で ない)表 現 型 ・遺伝 子型 の多様 性 (例えば,移 動能力,産 卵数,発 育期間,温 度耐性,色 彩 など), また,そ の頻度決定 と密接 な関係を持っ微視的生息環境の多様性, そ して単系統群 における生活 史の多様化 や種(群)の 多様化の実 体を反映す る食性や化性 の多様性な ど,生 物保全上重要 と思われ るこれ らの多様性7)8)9)やその相 互関係を合わせ て調 査 お よび議 論 の対象 と した報文 はほとん どない。すなわち,従 来 の多 くの事例 で,多 様性の評価基準が,生 息環境の類型 ・類別 と中大型動物 の 種以上の高次分類階級数 や生 息個体数のみに基づ いている こと自 体を,今 一度問題視すべ きであ るか も知れない。 生物多様性 の実態を把握 しな いまま,そ れを保全,復 元 し,評 価す るということは不可能 であ る。 とくに,都 市部 においては緑 地 の創造お よび消失が頻繁 であ り,特 定の緑地(群)に 期待す る 生物多様性保全効果 さえ も明確 にで きていないよ うに思 われる。 都市部の主要緑地 と しては,寺 社林,公 園,河 川敷 な どがある。 このうち,河 川敷 の植生管 理 につ いて は,「多 自然川 工 法」 な る ものの提案 によ り,ヨ シやヤ ナギ類の計画的配置 が種々の生物 の 生息場所 となる ことが広 く認 め られて いる10)。しか し,そ れに付 随す る河川敷 の生物保全を念頭 に置 いた調査研究2)3)4)5)に あっても, 多岐 に分化 した生 物の多様性 と比す るに,そ の研究例 は少 な く, 我 々の知識 は乏 しい といわ ざるをえない。 そ こで,本 研究で は,都 市部 の河川敷 に存在するオギ群落 に着 目 し,オ ギ群落の形状,構 造 と微小昆虫 アザ ミウマ類(総 翅 目) の多様性の関係を明 らか にするとと もに,都 市部河川敷 のオギ群 落 にお けるアザ ミウマ類多様性保全機能 の現 状を把握 し,こ れを 踏 まえ た,そ の管理育 成の方向性 を提案 したい と考 えた。本研究 で調査対象 とした総翅 目の昆虫 は一般 に体 長1~8mm程 度 で11), 摂取す る餌資源量お よび占有する活動域 がその他 の昆虫類 と比較 して少 ない。総翅 目昆虫 は低地 の水辺 か ら高山帯 の,水 中を除 く 広域な環境圏にあまね く分布 してお り,生 活 史や利用す る資源 も 種々多様であ る11)。本 グル ープには葉 な どの植物組織や花粉 を摂 食す る植食者,菌 類や菌類の分解物 な らびに胞子 を摂食す る菌食 者,そ の他の アザ ミウマ類や ダニ類,そ して鱗翅類 の卵 などを摂 食す る捕食者が存在す る11)。そのため,本 グループは一般 に,植 物体上 または リターを含む土壌 中に生息 す ることが多 く,特 定環 境 にお ける生物多様性保全の潜在性 の調査 においては,食 物連鎖 の様 々な位置 に存在す る種を系統 の影響 を最小限度 にとどめて一 概 に評価す ることが可能であ る昆虫群 といえ る。 また,ア ザ ミウ マ類 には有翅型 ・長翅型 と無翅型 ・短翅型 が出現 し,こ れ らはそ れぞれ,飛 翔可能な個体 と飛翔不可能 な個体 と見 なす ことがで き る。一般 に,昆 虫類 にお いて無翅型 ・短翅 型は永続性 の高 い安定 した環境 に生息す ると考え られる ことか ら12),無 翅型 ・短翅型 の 出現率 は生息環境の永続性や安定性 の評 価 に有益 である可能性 が 高 い。 また,わ が国の アザ ミウマ類 の生 息状況には未知 な点 が多 いため,現 在 の河川敷 にどのようなアザ ミウマ類 が生息 している のか を調査す ること自体 にも意義 があ ると考えた ことか ら,本 グ ループは調査対象 と して有益である と判 断 した。 一方 ,都 市部河川敷 にはアメニテ ィー空間 としての機能 を も具 備す る ことが望 まれ る。 そのため本論 で は,安 全および快適性 と 微小昆虫 アザ ミウマ類 の多様性保全 との両者を満たす緑地 が存在 するのか,ま たその妥協点 から緑地 の在 り方を具現化 する と,そ の具体 的形態や管理法 はどのようにな るのか についても言及 した。

The Effects of the Temperature and other Several Conditions of the Seed of nine Species in Fagaceae for Planting on Germination

本研究では, ブナ科樹種9種の種子の発芽温度特性を検討した。アラカシ, シラカシ, アカガシは低温湿層で長期保存すると発芽速度が増加し, シラカシとアカガシは発芽率も増加した。コナラ, スダジイでは長期保存により発芽率, 発芽速度は低下した。ウラジロガシ, イチイガシは, それぞれ23℃と16℃で発芽率発芽速度ともに最大となり, クヌギは9～30℃の範囲で発芽率が80%以上であった。マテバシイは30℃で発芽速度が, 9℃で最終発芽率が最大となった。本研究で供試した樹種において, 種子発芽に与える温度の影響は樹種により異なった。また, 種子の産地の違いが, 樹種ごとの発芽温度特性に与える影響は, 見いだせなかった。

Environmental factors affect the geographical ranges of aquatic animals in abandoned irrigation ponds

兵庫県神戸市北区山田町藍那地区に多数分布する放棄ため池のうち, 56ヵ所において、2000年夏期と2001年冬期に, それぞれ水棲生物の捕獲調査を行い, 生息種および生息密度と、ため池周辺環境との関連性について解析した。その結果、樹木等によってため池上空が被覆され, その開放率が低下するに伴い, アメリカザリガニの捕獲される割合が増加するという結果力得られた。また, アメリカザリガニの生息密度および生息の有無について検討したところ, ため池の地理的な分布位置によって、それらが大きく異なることが明らかになった。このような偏った分布特性は、過去におけるアメリカザリガニの分布域拡大過程の影響を受けているものと考察された。

A Study of the Improvement of the Spacial Condition to Inhabit the Butterfly, Lapidea amurensis

本研究では, ヒメシロチョウ成虫の活動空間の整備に寄与する基礎的な知見を得る目的で, 成虫の個体密度とその時の環境条件との関係性について検討した。その結果, 調査を実施した春季には, 本種成虫は暗い樹林よりも明るく開放的な草地で多く確認され, 特に吸蜜植物が高密度で開花している条件下に集中した。しかし, このような花の多い条件下でも, 微風状態から風が強くなると確認される成虫数が減少した。以上の結果, ヒメシロチョウ成虫の活動空間の整備のためには, 開放的な草地, 高密度の吸蜜植物, 微風環境の3点の同時的な整備が重要であることが明らかとなった。

Stand Structure of ‘Ecological Tree Planting’ Site within a Industrial Open Space at Bay Shore on the eighteenth Year after Planting

本論では, 潜在自然植生の構成種等を植栽した「エコロジー緑化」施工地での樹林の形成状況を解明するため, 湾岸発電所にある施工後18年目の試験地において林分調査を行った。この結果, 試験地の林分では, 最上層にトウネズミモチ, ヤマモモ等の階層が形成さ礼地表付近では多数のシャリンバイやトウネズミモチの生育を認めた。このように, 試験地では階層構造が形成されつつあり, この要因はギャップ形成の影響によると考えられる。また, 土壌中では炭素, 窒素の蓄積が深部にまで進み, セミの定着や森林性昆虫の生息が確認される等, 森林化への傾向が認められた。しかし, 林分の構成植物種は植栽時とほとんど変わらず, 種組成は地域の自然植生であるカナメモチーコジイ群集等とは異なるものであった。本論では, 潜在自然植生の構成種等を植栽した「エコロジー緑化」施工地での樹林の形成状況を解明するため, 湾岸発電所にある施工後18年目の試験地において林分調査を行った。この結果, 試験地の林分では, 最上層にトウネズミモチ, ヤマモモ等の階層が形成さ礼地表付近では多数のシャリンバイやトウネズミモチの生育を認めた。このように, 試験地では階層構造が形成されつつあり, この要因はギャップ形成の影響によると考えられる。また, 土壌中では炭素, 窒素の蓄積が深部にまで進み, セミの定着や森林性昆虫の生息が確認される等, 森林化への傾向が認められた。しかし, 林分の構成植物種は植栽時とほとんど変わらず, 種組成は地域の自然植生であるカナメモチーコジイ群集等とは異なるものであった。

The Growth Characteristics at Young Stage of three Species of Quercus for Planting

本研究では, アカガシ, アラカシ, ウラジロガシの3種の緑化用カシ類の幼木時の成長様式を把握するため, 1年生苗, 3年生苗を植え付けた。その結果, 3種とも4月上旬頃から樹高成長を開始し, フラッシュを1年間に4～5回繰り返しながら, アカガシは10月上旬, アラカシは9月上旬, ウラジロガシは10月中旬頃まで樹高成長した。肥大成長は, 3樹種とも4月上旬頃から始まり, 11月下旬頃まで継続した。同化部位となる葉面積は, 3種とも4月上旬前後に増加を開始し, 増加量が最大であった時期は樹種, 樹齢によってばらつき, 10月下旬頃に増加を停止した。さらに, 3樹種とも樹齢が違っても, 成長様式はほとんど変わらなかった。

The Effect of a Rain Water Store under the Layer of Fill-up Soil on the Overhead Line

奈良県大和高田市の高架橋上に造成した人工地盤緑化試験区において, 雨水の底面貯水層の効果の検証を行った。植栽後約1年目の地被類と低木類の枯死率と被覆面積を土壌種類の違い, 貯水層の有無, 貯水層への通気の有無で比較した結果, 人工土壌の使用は生育量を増大させる場合が多いものの, 枯死率の増大など逆の効果もあり, 一概に優れているとは言えないこと, 底面貯水は枯死率を引き下げるには有効だが, 生育量の増大には寄与しない場合もあること, 底面貯水層への通気の効果はほとんど認められないことなどが把握された。貯水層の効果は, 土壌種, 植栽植物種の違いにより様々であり, ときには全く逆の結果をもたらすこともあることが分かった。

Studies on Seed Germination, Growth, and Brush cutting Resistance of Wild Flowering Herb Sisyrinchium rosulatum BICKN

ニワゼキショウの群生地の形成手法を確立するため, 種子の発芽と生育習性, および刈取り抵抗性を調べた。その結果, 種子の発芽には光の照射が要求され, 発芽適温が15～20℃ にあった。花期は5～11月で, 葉は常緑に近い性質を持ち, 主に, 4～9月は地下部の養分と地上での生産養分によって, 地上部の栄養と繁殖成長を行い, 9～11月に生産養分を地下部に蓄積した。2週毎刈取りでは枯死し, 群生地形成における最適下刈り頻度は4週毎であった。