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Publication
Featured researches published by Takashi Iwahashi.
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2008
Takashi Iwahashi
2006年の日本人の平均寿命は女性85.81歳(22年連続世界一),男性79.00歳(世界第2位,第1位はアイスランド : 79.4歳)であった.厚生労働省では,今後三大疾病の治療効果の向上を見込むと,さらに寿命は延びると予想している.私達の身体機能は,加齢とともに確実に老化し衰えていく.その一つの現象として,外見上の体力衰退ではなく飲食時の気管への食物の入り込みである.この現象は“誤嚥”と呼ばれ大きな問題となっている.飲食中に突如,猛烈に咳き込む.このような状況に陥ったり,見たりされた方もおられるでしょう.普通,健常であれば気管に入った異物は咳き込むことで吐き出すことができる.しかし,高齢者・疾病者の場合,咳き込むことが出来ずに,異物が気管に入ったまま放置され続けると,この異物に起因しての発熱,さらには肺炎にまで進行してしまうことがある.第1編は,海老原氏らに「嗅覚刺激と高齢者摂食嚥下障害」という題目で,上述したような問題点の解決にブラックペッパーによる嗅覚刺激が脳への刺激となり,最終的に誤嚥予防の有益な手段になり得るという研究成果について執筆して頂いた.第2編は,今西氏に「香りと医療─メディカル・アロマセラピー─」というテーマで執筆して頂いた.本学会誌でも以前に呼気や体表より発散されるガス成分による疾病の診断,予防等への研究が実用化へと向かいつつあることを紹介している(Vol. 36 No. 5, Vol. 37 No. 2).エッセンシャルオイル(精油)を用いてのアロマセラピー(芳香療法)として,私達に最も身近のものはエステティック・アロマセラピーと呼ばれるもので,街なかの美容室やエステサロンなどで行われている行為である.これに対して,標題にあるメディカル・アロマセラピーは医療行為の中で補完的な目的として行われるもので,その効能は科学的エビデンスに裏付けされ,徐々に認められつつある.今後さらなる実施例が増え,病気の予防や症状の軽減への寄与という実用性が期待される分野である.第3編は,岩崎氏に「都市緑化植物が保有するストレス緩和効果─揮発成分からみた癒しの効果─」というテーマで執筆して頂いた.2006年林野庁より森林セラピー基地の認定箇所が発表され,樹木から発散される揮発性物質の身体におよぼす有効性が確認されている.厚生労働省は“治療する医学”から“予防する医学”が重要であると位置付け,主に食生活の改善指導等を積極的に進めるとしている.しかし,“食”だけではなく嗅覚を活用しての予防医学にも注目すべき点が多い.岩崎氏は都市部の緑化樹木でもセラピー効果が得られることを確認した.たとえば,比較的植樹が多い“クスノキ”からの抽出精油(主成分はカンファー)について,ヒトへのストレス緩和作用を調べ有効性を確認し,さらに,植物園内にあるラベンダー畑と芝生地においてもストレス緩和性があることを確認している.第4編は,野田氏らに「五感を刺激する園芸療法」というテーマで執筆して頂いた.“園芸療法”という言葉自体,読者の方々にとって馴染みの薄い言葉かもしれない.著者らの所属されている千葉大学では,芳香療法,森林療法など植物を媒介としての療法が注目を集めている中,園芸療法科学の確立に向けたプロジェクトをスタートさせている.園芸療法の特徴は,個人が実際に植物の世話をすることで,見たり,触れたり,嗅いだり,食したりすることで五感が活性化されることである.すなわち,自然のリズムの中に身を置くことで,日常の健康増進や生活の質の向上を図ることを目的としている.以上紹介した4編の研究内容に共通している特徴は,いずれの場合もヒトに対して“非浸襲性である“ということであろう.高齢,年少,重篤である人達にとって採血・採尿行為などは身体に負荷をかけてしまう.これからはヒトに対して負荷をかけない診断・治療法の確立が極めて重要なことになってくる.執筆して頂いたいずれの研究も,しっかりとしたエビデンスに裏付けされており,今後に大きな期待を抱かせてくれる分野である.これからのますますの発展を願いたい.最後にご多忙中にも関わらず,本誌への執筆をご快諾いただいた先生方に,本紙面を借り厚く御礼申し上げます.
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2006
Takashi Iwahashi
これまで,当協会は,主にアウトドアでの臭気対策に力点を置いてきている.2003年“臭気対策研究協会”から“におい・かおり環境協会へと名称を変更し,アウトドアでの臭気対策を主流としてきた協会業務をインドア臭気対策へも拡大し,さらに“かおり”分野にも進出していく方針を明確に打ち出した.しかし,当協会のインドア臭気対策およびかおり分野に関する情報量には,おのずと限界がある.これまでも,本誌では消・脱臭剤に関する特集,人体に関わる臭気問題など,インドア関連の情報を提供してきた.しかし,多種多様を極めるインドア臭気問題を一括して考えることには,所詮無理があるように思える.そこで本号では,最も身近であり,かつ最大のマーケットを誇る一般家庭内での臭気問題・臭気対策を取り上げることにした.国内においてこの分野を掌握しているのは,厚生労働省(旧厚生省)の指導下で設立された“芳香消臭脱臭剤協議会(以下,協議会と略記する)”である.本特集では,この“協議会”の事務局にお願いし,協議会全体の活動内容について執筆いただくと共に,一般消費者向けの芳香剤,消臭剤,脱臭剤市場が現状どのような動きをしているかについての情報をご提供いただいた.最初に,協議会事務局長および理事を務められている矢田氏(小林製薬株式会社)に協議会設立にまつわる話題について説明していただいた.そもそも,雑貨というジャンルに区分けされる芳香消臭脱臭剤には特定の規約は無く,あくまでも個々のメーカー責任のもとで種々の製品が開発上市されていた.しかし,製品の安全性,効能,取り扱い法など消費者に対する情報提供の重要性が求められ,各メーカーが共通認識の下に商品開発が行えるように,自主基準(効力試験法)なるものを制定した.その自主基準をクリアーしている商品に対して「適合マーク」(336頁に掲載)の使用が許可されている.おそらく,このマークを店頭で目にされた方々もおられるでしょう.しかし,1990年に制定(1992年改定)された自主基準も現状にそぐわない部分が指摘され,見直し作業が2002年より3年間かけて,協議会内に設置された技術委員会のメンバーによって行われた.詳細について,技術委員会委員長を務められている田中氏(小林製薬株式会社)に執筆いただいた.引き続き,一般消費者向けの芳香消臭剤に関する情報をレビューも含めて永友氏(小林製薬株式会社)に執筆いただいた.永友氏らの生活臭に関する最近のアンケート調査によると,他人の家を訪問したときに97%〓の人が室内臭気が気になるとし,自宅でも80%〓近くの人がにおいを気にしているという結果が出ている.明らかに一般家庭で,におい対策へのニーズが高まっている事を裏付けている.芳香消臭脱臭剤市場では,最近新規参入する大手メーカーも多く,確実に顧客を掘り起こしている.したがって,メーカー間の新商品開発も熾烈を極めている.最後に,これら商品を消費者が購入し使用された時点で発生した事故事例について,波多野氏(財団法人 日本中毒情報センター)に執筆いただいた.すでに日本が突入した高齢化社会において,におい問題の解決はますます重要になり,手軽に購入可能な芳香消臭剤の役割は増している.商品が不特定多数の人達に渡ると,思わぬ事故が起こる.起こり得る事故を最大限に想定し,より安全な商品の開発が大切になってくる.このような背景からも,発生した事故の状況を知る事は非常に重要であろう.波多野氏の執筆内容は,私達にとってなかなか入手する機会が少ないデータであり,貴重な情報ではないだろうか.以上,本特集にあたっての概要について述べさせていただいた.本協会の多くの会員の方々にとって有意義な情報になってくれることを願いたい.最後にご多忙中にもかかわらず執筆をご承諾いただいた先生方に,この紙面を借りて厚く御礼申し上げる次第です.
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2013
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2013
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2012
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2012
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2012
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2011
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2010
Takashi Iwahashi
Journal of Japan Association on Odor Environment | 2009
Takashi Iwahashi