Tetsuo Tsuda

The Influence of Solvent and Catalyst Amount on the Cationic Copolymerization of β-Propiolactone with Styrene

β-プロピオラクトン(PL)とスチレン(St)のカチオン共重合において,交互生長反応は起こりがたく,ブロック共重合体が生成することが知られている。この共重合系で,溶媒と触媒量が生成重合体の組成に著しい影響を有することが明らかになった。実験結果をまとめるとつぎのようになる。1.生成重合体中のSt含量は溶媒の極性の増大とともに増す。2.生成重合体中のSt含量は触媒量の増大とともに増す。共重合条件を変えることにより,二つのモノマーの反応性を逆転させることが可能である。これらの結果は,触媒とPL間の特異的錯体形成およびそれに対する溶媒効果によって説明された。特異的錯体形成は,非極性溶媒中では完全であり極性溶媒中では不完全であると考えられ,そして触媒量の増大は,錯体形成に関与しない遊離の触媒の量を増すと考えられた。Stの重合に対するフタリドおよび単独重合しがたい環状モノマーの添加実験そして塩化スズ(IV)-フタリド錯体からのフタリドの解離への溶媒効果についての実験が行なわれた。これらの実験は,特異的錯体形成の仮定を支持する。