Tomonori Nakasone

Clinical Study of Synchronous Lung Cancers

原発性肺癌切除症例642例中, 同時性肺癌は5例0.79%であり, 全例Brinkman Index 1200以上の男性, 集団検診での要精査例であった. 病巣は, 同一肺葉1例, 同側肺2例, 左右両肺2例で, 一期的切除を3例, 二期的切除を2例に施行した. 同時性肺癌の治療に際しては, 転移・再発肺癌との鑑別が重要であり, 多発肺癌でも切除可能であれば積極的に外科治療を行なうことでより良い予後を期待できると考えられる.

Evaluation of sialylated Lewisx as a tumor-associated carbohydrate antigen in sera of patients with colorectal cancer.

新しいモノクローナル抗体CSLEX1によって認識される糖鎖抗原sialylated Lewisxを, 大腸癌手術症例63例の血清を対象に, EIA法にて測定し, 腫瘍マーカーとしての有用性を検討した. 陽性率は23.8% (15/63) で, Dukes A・Bの早期においては0%・8.7%と低値で, 早期診断は困難であるが, Dukes C・Dの進行癌での陽性率は33.3%・50.0%で, 非治癒切除例・非切除例での陽性率は50.0%・66.7%と高率であり, 術前の根治度の判定が可能であると考えられ, 転移形式のうち肝転移とリンパ節転移因子に関連性を有する.また, 限局型癌・粘液癌に陽性率が高い. 以上より, 大腸癌患者血清中sialvlated Lewisx抗原は, 新しい腫瘍マーカーとして臨床的に有用であることが示唆された.

Pulmonary resection for lung cancer in a patient on maintenance hemodialysis.

症例は63才の男性で, 57才時より慢性腎不全の診断で人工透析を受けていたが, 咳噺, 血痰が出現したので胸部レ線検査を受けたところ左上肺野に異常影を発見され, 肺癌と診断された.左肺上葉切除, 気管支形成術及び縦隔リンパ節郭清術が施行された.病理診断は中分化扁平上皮癌 (T2N2M0 Stage IIIA) であった.術後の経過は良好で化学療法施行後退院した.慢性腎不全に対し人工透析中に発見された肺癌切除例の経過と術前後の管理を中心に報告した.