Tsugio Terai

Incidence of serum-precipitating antibodies to farmer's lung antigens in Hokkaido.

The prevalence of serum-precipitating antibodies to Micropolyspora faeni and Thermoactinomyces vulgaris was studied by immunoelectrophoresis in 442 dairy farmers living in Hokkaido, the northernmost district of Japan. The prevalence rates of antibodies to M. faeni and T. vulgaris were 24.2 and 11.6%, respectively. The rate of antibodies to M. faeni was higher among females than males. This difference may be due to the large number of nonsmokers among females. Prevalence of antibodies to M. faeni or M. faeni and T. vulgaris was associated with a higher hay acreage and longer working hours per day in the cowshed, and not to the size of the dairy herd. These results were partly different from those reported from other countries.

Review of Spontaneous Pneumothorax Cases in Eastern Hokkaido.

昭和63年より平成5年まで当科で経験した自然気胸50例について検討した。内訳は男性43例, 女性7例である。そのうち11例22%は安静療法のみで気胸は改善し, 残り39例に対しては胸腔ドレナージを行い, 最終的に30例60%に気胸の改善をみた。しかし残り9例18%の症例は, 手術を必要とした。再発率は初回例39%, 2回目36%であり, 良性疾患で, 内科的治療の再発率は高いが半数以上は再発しない点を治療選択の際どう評価するかが, 意見の分かれるところと考える。さらにこれらの症例を対象に, 特発性自然気胸例における体格と胸部X線写真上で測定される肺の大きさとの関連を検討する目的で, 特発性気胸患者のうち10歳代から30歳代の男性気胸例34例を選択し, 年齢を合致させた男性対照30例についても比較検討した。身長については特発性気胸例については対照より有意に高値を呈し, 体重については低い傾向を示した。また肺の高さについては気胸群は対照群に比し有意に高値を呈し, 従来から言われている長身, 痩せ型の体型で, 肺の高さも高いことが裏づけられた。

A CASE OF ALLERGIC BRONCHOPULMONARY ASPERGILLOSIS

本邦では報告の少ないアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例を報告する.患者は22才,男性,職業は農業.発作性の喘鳴,出没を繰り返す肺野の浸潤陰影,喀痰中および末梢血中好酸球増加,茶褐色の粘液栓の喀出が認められた.胸部X線像,気管支造影,気管支鏡によつて粘液詰め込み状態(mucoid impaction)にあることが証明された.また, IgE, IgGの増加,補体の低下か認められた.さらに,アスペルギルス抗原に対してI型(即時型)およびIII型(アルツス型)皮膚過敏反応,沈降抗体,補体結合性抗体が認められた.アスペルギルス抽出液の吸入試験でも早期(I型)および晩期(III型)の2相性の反応が認められた.喀出された茶褐色の粘液栓からアスペルギルスが培養された.治療後の気管支造影で,特徴的な近位気管支拡張症が認められた.すなわち,比較的太い気管支が紡錘状に拡張しており,その末梢は正常な造影所見であつた.