Yasuyuki Tomoda

Thickness Measurement of Plated Thin Films by Successive Micro Indentation Method

以上を要約すると次のようになる.(1) 本法は微小ビッカースかたさ試験法と比較して1回の圧子押込み試行により深さ方向の情報が迅速かつ連続して得られる利点がある.膜厚計測における測定器の精度は押込み量1μmで,荷重は1gまで到達可能であり,実験条件(加圧速度,摩擦,粒度等)による影響は認めがたく,表面あらさは3μm以下が望ましい.しかし実験条件に関してはさらに検討する必要がある.(2) 本法によるかたさ値は荷重-押込み曲線の二階微分値で表される.素地材の荷重-押込み曲線は2次式となり,表面層を有する試料では,表面層と素地材おのおのの荷重-押込み曲線間のなめらかな移行が成立し,荷重変化率は,stage I-stage II-stage IIIの3段階であることがわかった.stage Iはめっき層自身のかたさ変化を表し,stage IIはめっき層と素地材境界面内における変形流動の影響を受けたものとなり,stage IIIは金属素地のみのかたさ変化を表す.(3) 素地金属およびめっき膜のかたさ値は荷重変化率曲線の傾きに相応し,計測誤差は5%と考えられる.めっき膜厚は対面角の異なる圧子を2,3選んで求めればよく,その計測誤差は10%である.(4) 圧子の対面角による検出度について定性的には,めっき膜が素地材よりかたいとき対面角の小さい方が検出感度は良く,逆の場合には対面角の大きい方がよい.