Yoshihisa Fujio

Genetical Aspects of the Utilization of Chicken Blood Groups in Breeding

鶏の血液型に関す る研究は,1946年 以後 アメ リカ の BRILEと イギ リスのGILMOURの2人 が中心 となって発 展 させた.彼 らは同種免疫による抗血清 を用いて血液型 を分類 した.現 在,少 な くとも常染色体上に位置 す る12 の血液型 システムが明 らかにされている.鶏 の血液型に 関する総説はすでに多 くあ り,育種 への利用 についての 可能性 も示唆されてい る1,2,3,4,5,6,7,8,9).血 液型 の研究には 免疫遺伝学そのものに対 する興味から進められている免 疫生物学的基礎研究 と遺伝的標識と して用いる集団遺伝 学的研究 および応用的な育種技術的研究 とがあ る.血 液 型から育種技術 を考えるとき,あ ま りに も血液型の利用 に期待をかけ過 ぎた ように思われ るが,現 在ではそれ に 対する正 しい利用の しかたが生 まれつつある と思 わ れ る. 血液型の育種への応用 には血液型が個体識別 としての 利用 と免疫生物学的意味をともなう現象 にもとづ く利用 が考えられ る.前 者 には品種お よび系統の特徴 の把握, 系統の純粋性の検定,コ マーシャルチ ックの特徴 の把握, 連関 してい る量的形質に関係す る遺伝子の選抜 などがあ げ られる.後 者 には実際 に 合わせ検定をおこなわずに 組合わせ能力をある程度推定 しうること,組 織適合性 と の関連性に もとづく経済形質,ウ ィルス ・レセ プター と しての血液型 による抗病性の育種 などがあげ られ る.こ の総説では血液型の遺伝学的研究 と育種への応用 とのつ なが りを中心 として述べ ることにす る. 1. 血液型 システム 動物の赤血球がもってい る抗原 には種特異性 と個体特 異 性が あ り,血 液 型 と は同 種属 内 の 赤 血球 の個 体 変 異 を 示 す もの で 赤血 球 が も って い る抗原 の有 無を抗 体 に よ っ て 分類 した 型で あ る.こ の 定義 は 狭 義 の血 液 型 で,こ こ で紹 介 す る血 液 型 はす べ て この血 液型 を意 味す る.血 液 型 の分 類 の ため には,血 液 型抗 原 を検 出で きる特 異性 の 高 い多 くの抗 血 清 が必 要 で あ り,抗 血 清 に よ って 検 出 さ れ る血 液 型抗 原 の 相互 の 遺 伝的 支 配関 係 を明 らか にす る こ とが 重要 で あ る.現 在,世 界各 国 で用 い られ て い る血