Yoshiko Ikawa

家庭科における食情報に関する学習内容と指導方法の検討(III) : 家族への伝言をイメージする授業

生活者の食品の機能性に対する関心は高い一方で, 食情報に対する理解不足が原因となり健康被害が生じた事例も報告されている。家庭科では, このような現状を食生活の問題として捉え, 問題解決的な思考を通してよりよい食生活を営む実践的な態度を養う必要がある。これまで申請者らは, 平成19年度と20年度の学部・附属学校共同研究において, 学習者の食情報に対する主体的な判断を促すことをねらいとして家庭科の授業設計を行った。本研究では, 食情報について考える授業を設計するにあたり, 食品の機能性に関する情報の信頼性を考える活動と, 家庭科の学習内容を家族に伝えることをイメージさせる活動を取り入れた。授業を通じて, 生徒に食情報の信頼性を判断する意識が生まれていた。学習内容を家族に伝達することをイメージする活動については, 多くの生徒が多様な気付きをみせた。今後の課題として, 生徒が実際に家族に学習内容を伝え交流を行うための工夫, 生徒に家族の食生活の問題を気付かせるための指導が必要であると考えられた。今後は食情報を対象として, 他分野や他教科との連携, 家族との連携を意図した授業の設計・実践をめざしたい。

家庭科における食情報に関する学習内容と指導方法の検討(II) : 主体的な判断を促す授業

本研究では, 食情報を受け取る側と食情報を提供する側から食情報の問題を捉え, 読み取り方を考えることにより, 食情報を主体的に判断することを促す授業の設計を試みた。作成した授業を「家庭基礎」を選択している附属福山高等学校1年生を対象として2008年11月に実施した。授業評価として, ブルームの認知領域の学習水準を基に評価の観点を作成し, ワークシート記述から読み取った生徒の意見を分類した。ほぼ全員の生徒が食情報を主体的に判断することの重要性に気付き, さらに8割程度の生徒がその読み取り方を「理解」以上の水準で認識していた。食情報を主体的に判断することに対する認識と実践にはずれがみられたが, 食情報を主体的に判断することに対する認識が高い者は実践への意識も高い傾向があった。以上より, 本研究で提案した授業から, 食情報の主体的判断の認識と連動して, 食情報を主体的に判断することに対する実践力を高める工夫を行うことが今後の課題として考えられた。

Consumers Choice of Fish and Shellfish and Their Relation with Regions of Residence in Hiroshima Prefecture

Preferences of fish and shellfish and their eating frequency were investigated in 171 households in Hiroshima prefecture. They were divided into four groups by their living regions. These regions were Hiroshima city, suburban (local) cities, farming regions and farming or fishery regions. Data were analyzed by ANOVA and multiple linear regressions. There was relationship between frequencies of fish and shellfish intake and size of family members in all four groups significantly. Among four groups, frequencies of fish and shellfish intake were the highest in people who lived in Hiroshima city and the lowest that in suburban (local) cities. It showed that consumers choice of fish and shellfish might be dependent on their residence regions. People who live in Hiroshima city had taken advantage of their convenient environment and eaten variety of fish and shellfish dishes.