Yukitake Hasebe

Metastatic Small Intestinal Tumor Presenting an Interesting Metastasis from Gastric Carcinoma

悪性腫瘍の小腸転移は播種性によることが多いが, まれに血行性, リンパ行性によることもある. 今回, 血行性またはリンパ行性小腸転移の可能性が示唆された胃癌の小腸転移例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性で, 腹痛, 嘔吐を主訴に来院した. 腹部CT, 腹部X線検査にてイレウス像を呈した. 上部消化管内視鏡検査にて胃体中部後壁に浅い陥凹を伴う潰瘍性病変を認めた. 生検にて胃癌と診断した. 胃癌治療, イレウス改善目的にて手術を施行した. 術中所見にて胃体中部に病変を認めた. 回腸末端部付近中心に数か所の黄白色の硬結を触知し, うち2か所は全周性の狭窄を呈しておりイレウスの原因と考えられた. 肉眼的腹膜播種なし, 術中洗浄細胞診class IIであった. 幽門側胃切除術, 狭窄部の小腸部分切除術を施行した.術中小腸の病変は炎症性腸疾患を考えたが術後の病理組織学検査にて胃癌の転移と診断された. 術後約20か月後腹膜再発のため永眠された.

A case report of synchronous triple cancer of combined hepatocellulal-cholangio carcinoma, squemous cell carcinoma of the lung, and adenocarcinoma of the colon.

は じめに 手掌紅斑,ク モ状血管腫は認められなかった。 診断技術の発達,早 期発見,早 期治療による予後の 入 院時血液生化学検査 :末檎血で軽度の自血球の増 改善,平 均寿命の延長などにより,近 年,各 種組合せ 加 を認めた。生化学検査は正常であったが,ICG 15分 の重複悪性腫瘍が増加しつつある11われわれは,原発 値 は11%と軽度上昇していた,HBs Ag,HBs Abと 性肝癌のうちでもまれな混合型肝癌と肺扁平上皮癌, も 高くなかった。2-fetO protein(AFP)は 正常範囲内 S状 結腸癌が同時性に認められた 1例を経験したので で あったが,carcinOembryonic antigen(CEAル ま16.0 文献的考察を加えて報告する。 症 例 症例 :73歳,男 性,無 職. 主訴 :亥嗽. ng/dlと上昇していた (表1). 入院時胸部 X線 写真では,右 下肺野に境界不整な 70×60mmの 腫瘤陰影を認めた。気管支鏡検査にて右 下棄 B9の入田部に粘膜表面の平滑な狭窄像を認め,生 嗜好品 :煙草 1日20本50年間, ビール毎日2本. 検 の結果,扁 平上皮癌と診断した。また 3回の喀疾細 家族歴,既 往歴 t特記事項はなかった。 現病歴 :昭和60年 3月 下旬より咳嗽,発 熱,全 身俗 表 1 入 院時血液生化学校査