Eiichi Sakai

A Phase III Comparison of Etoposide/Cisplatin with or without Added Ifosfamide in Small-Cell Lung Cancer

A total of 92 patients with small-cell lung cancer (SCLC) were randomized to receive cisplatin (80 mg/m2, day 1)/etoposide (100 mg/m2, days 1, 3, 5) (PE) or cisplatin (80 mg/m2, day 1)/etoposide (100 mg/m2, days 1, 3, 5)/ifosfamide (2 g/m2, days 1, 2, 3) (PEI) combination chemotherapy. After 2 courses of chemotherapy, patients with limited disease (LD) received chest irradiation of 40-50 Gy. Of the 89 patients who could be wholly evaluated, the overall response rate was 78% for PE and 74% for PEI therapy (NS). For all patients the complete response (CR) rates were 14 versus 21%, respectively, and 22 versus 30% for LD. However, the median survival times for all patients were 55 weeks for PE therapy versus 56 weeks for PEI therapy (NS). The 2-year survival rates were 15 and 17%, respectively, for all patients (NS). There was no difference in the duration of response between PE and PEI therapy in cases with CR or partial response. However, severe leukopenia (< 2,000/mm3) occurred more often after PEI (73%) than after PE (44%) therapy (p < 0.05). These results suggest that PEI is not superior to PE chemotherapy in SCLC. The use of ifosfamide in multimodality treatment regimens needs to be studied further.

Clinical Features of Female Lung Cancer.

女性肺癌の臨床像について, とくに喫煙歴に注目して男性と比較検討した. 女性の喫煙率は男性の1/3以下, 平均喫煙指数も1/2以下であった. 女性では男性と比較して腺癌, 無自覚症状者, 臨床病期1期, IV期, PS0, 4が有意に多く, 検診発見者が多い傾向にあった. しかし, 喫煙歴別では, 非喫煙女性で非喫煙男性に比較してPS0が有意に多かったほかに男女間に有意差はなかった. また, 喫煙女性は非喫煙女性と比較し自覚症状発見者, 有自覚症状者が有意に多く, IV期, PS4が多い傾向にあった. 予後は, 全症例およびおもな予後因子で層別しても男女間に有意差はなかったが, 腺癌のIV期では女性の予後が有意に良好であった. 女性肺癌の臨床像の特徴は男性と比較して喫煙歴が少ないことによる影響が大きいと考えられた. また, 喫煙歴の有無は男性と比較して女性でより大きく臨床像に影響を与えていた.

Effects of Photodynamic Therapy in Inoperable Early Stage Lung Cancer Patients.

中枢型早期肺癌8例に対しphotodynamic therapy (PDT) を施行した. 全例がRoentogenographically occult lung cancer (ROLC) で, 組織型は扁平上皮癌であった. TNM分類では, TisN0M0が6例8病巣 (多発癌2例), T1N0M0が2例2病巣であった. 腫瘍径は10mm未満が6例7病巣, 10mm以上が2例3病巣であった. 治療効果の判定は, PDTを施行した2週後の気管支鏡検査所見と, 2週後及び4週後の喀痰細胞診にて総合的に判定した. PDTの結果, 1.8症例中complete response (CR) を5例, Partial response (PR) を3例得た. 2. 深達度ではCisの6例中5例, 8病巣中6病巣にCRを得た. 3. 腫瘍径では10mm未満の6例中5例, 7病巣中5病巣にCRを得た. 4. CRの1例2病巣 (多発例), PRの2例2病巣に放射線治療を追加しCRを得た. 5. 死因は, 5例中3例が重複癌死, 2例が他病死, 原発癌死はなかった. 生存期間は, 重複癌の進行で8カ月後に死亡した1例を除いては39～120カ月 (中間値50カ月) で, 5年以上の生存は3例であった.

Fine needle aspiration cytology of so-called sclerosing hemangioma of the lung: A study of two cases.

いわゆる肺硬化性血管腫の切除例2例について, 術前の経皮的肺針生検・吸引スメアの細胞像を検討したところ, 本腫瘍にみられる細胞を次のようにまとめることができた.1) 散在性または乳頭状集塊を形成する類円形細胞.2) 類円形細胞よりも小型の核と明るい細胞質を有し, 軽度の重積性をもって配列する細胞.3) 細胞質が広く, 核も大きく核小体のめだつ大型多辺形細胞.4) 小型類円形細胞の乳頭状集塊の芯にみられる紡錘形核の細胞.5) 多数のヘモジデリンを貧食している組織球.6) 炎症性細胞.このなか, 腺癌一特に末梢型一と鑑別を要する細胞は小型類円形細胞と大型多辺形細胞であり, 前者は腺癌に比べると核異型や細胞異型が一般に軽度であり, かつ, 乳頭状集塊の芯に紡錘形核のみられることが鑑別に役立つ所見であった.後者は個々の細胞所見のみでは腺癌細胞との鑑別はきわめて難しく, 上述のように多種類の細胞の出現することや, 特に多量のヘモジデリンおよびこれを貪食した組織球の多い血性背景が本腫瘍を示唆し, 腺癌細胞との鑑別に有用な所見であった.なお, 大型多辺形細胞は間葉系由来ともいわれているが, 免疫染色法により小型類円形細胞とともに肺胞上皮起源を強く示唆する所見を得た.

A case of primary fibrous histiocytoma of the lung.

きわめてまれな肺原発の良性線維性組織球腫の1例を経験したので報告した.症例は52歳女性で, 健康診断にて胸部X線写真上異常陰影を指摘され入院した. 右下葉に径30mm×25mmのだ円形で辺縁鮮明・均一な濃度を有するcoinlesionを認め, 諸検査の結果, 悪性腫瘍の疑いが否定できなかったので, 腫瘤摘出術を施行した. 腫瘤は表面平滑・弾性硬で, 組織学的にBFHと診断した. 細胞所見は, 核異型に乏しい線維芽細胞様細胞と組織球様細胞が混在して認められ, 細胞集塊はstoriform patternに類似した細胞配列を呈していた.本疾患は, 肺に原発することはきわめてまれで, さらに術前診断は容易ではないと考えられるが, 細胞診にてstoriform patternを呈する線維芽細胞様細胞および組織球様細胞を認めた場合, 本症の可能性を考慮して細胞所見を検討する必要があると考えられた.

Pulmonary lymphangitis carcinomatosa due to gastric adenosquamous carcinoma, with cytologic findings - A case report.

35歳の男性が乾性咳嗽と微熱を主訴とし, 当院を受診した. 理学所見では, 脈拍数が109/分と頻脈で, 胸部聴診上全肺にわたり気管支呼吸音の増強が認められた. 表在リンパ節は触知しなかった. 血液検査では肝機能の軽度障害, CRP (2+), CEA (EIA) 42.0ng/mlなどの異常がみられた. 胸部X線写真では両側肺門部から肺野にかけて小粒状陰影および浸潤陰影, 心陰影の拡大, 両側胸水の貯留がみられた. 気管支鏡検査では気管分岐部から右気管支全体にわたる発赤, 浮腫状変化, 小隆起性病変などが観察された. 喀痰細胞診では孤立散在性にオレンジGやライトグリーン好性で, 胞体が厚く粘液様空胞をもつ悪性細胞がみられ, 擦過細胞診では層状の配列を示す悪性細胞がみられた. また, PAS陽性物質が認められた. 剖検により, 本症例を胃原発の腺扁平上皮癌, 癌性リンパ管症, 癌性胸膜炎, 癌性心膜炎と診断した. この症例にみられた細胞診所見にっき検討を加えた.

Mass Screening for Lung Cancer by Means of Cytological Examination of Sputum

A total number of 2, 437 high risk subjects, who were mainly males, 40 years or older and chronic heavy smokers, have been examined to detect centrally located lung cancer by sputum cytology.4, 123 specimens have been examined. There were 504 unsatisfactory specimens (19.7%) out of 2, 553 specimens as detected by Post Tube method, in contrast, there were only 20 unsatisfactory specimens (1.3%) out of 1, 570 specimens as detected by Saccomanno method. Those results demonstrate Saccomanno method is more effective than Post Tube method for cytological mass screening of lung cancer.Results from 3, 599 satisfactory specimens were as follows there were 3, 249 normal specimens (90.3%), squamous metaplasia with mild atypia 286 (7.9%), squamous metaplasia with moderate atypia 29 (0.8%), squamous metaplasia with marked atypia 1, atypia of glander epithelium cells 34 (6.9%), and malignant cells 0.Tow subjects were proved, in X-ray examination during the surveys, to have peripheral lung cancer. It is considered that periodical cytological examination of sputum for several years is necessary to detect centrally located lung cancer.

A CASE OF PULMONARY ALVEOLAR PROTEINOSIS

症例は, 47才,男性,教員.主訴は,労作時息切れ,咳嗽,喀痰. 28才頃より慢性気管支炎と言われていたが,最近息切れが増強し受診した.理学的所見では,胸部で両下肺野後面に少数の捻髪音が聴かれ,軽度のばち状指趾が認められた.胸部写真では,左右両下肺野に淡い微細粒状影を,呼吸機能検査では,拘束性障害と拡散能力の低下を,動脈血ガス分析では,低酸素血症と過換気の状態を認めた.開胸肺生検により組織学的に肺胞蛋白症と診断された. L-シスチン内服で若干の改善が認められたが, Ramirez-Rらの方法に準じて病変の高度な左肺の肺洗浄を施行し,自覚的および他覚的症状は著明に改善された.肺洗浄液の分析では,蛋白と燐脂質は正常であり,燐脂質ではレシチンとスフィンゴミエリンが主であつた.レシチン画分では,パルミチン酸が高値を示し,洗浄液脂質の主成分はlung surfactantと近似していた.肺胞蛋白症は,血清とII型肺胞上皮細胞に由来する物質が,何らかの原因により肺胞クリアランス機構が障害されるため肺胞内に異常に蓄積し,さらに悪循環を形成するために生ずると考えられる.従来は死亡率がかなり高いとされたが,肺洗浄などの積極的な治療で著明な改善を期待できる疾患であるので,早期発見および治療が重要である.疑わしい症例に対しては,積極的に喀痰の分析,肺生検などの確診の得られる検査を行なう必要がある.