Katsuhiko Yuki

Electron Microscopic Studies on Primary Culture Cells from Human Oral Tissues

口腔領域の各種組織由来初代培養細胞の細胞動態ならびに形態について1967年以来本教室において一連の研究がなされて来た。著者はこれらの業績に基づき, 増殖能を有する初代培養細胞の生物学的性状を解明する目的で, これら細胞の微細構造を電顕的に検索した。本報では正常口蓋粘膜由来初代培養細胞について得られた結果を報告する。研究材料は口蓋裂患者の口蓋形成手術時に切除された裂縁部粘膜を用いた。培養は直接カバーグラス法に準じ, スライドグラスおよびEpoxy樹脂板を用い, Eagle MEMを培養液として使用, 37℃のCO2培養器にて行った。なお一部はそのまま固定し電顕観察した。固定は培養7日目に行い, 脱水後包埋は, スライドグラス上のものはエポン混合液を満したゼラチンカプセルを培養体上にかぶせ, Epoxy樹脂板上のものはアルミ箔にてboxingしてエポン混合液を流し込み加熱重合した。薄切は前者では移植組織辺縁部より約1mm遊出した部位を培養基質面に平行に, 後者では移植組織片とともに垂直に行った。培養基質面に垂直に薄切した所見では, 移植組織上には3～4層の細胞が残存し, これらの細胞と遊出細胞は連続していた。遊出細胞は移植組織辺縁部では細胞が遊出方向に押し出されるような配列および形態を示していた。移植組織より約1mm遊出した部位の細胞は核を中央に丘状を呈し, 隣接する細胞とは互いに小型のデスモゾームによって結合していた。培養基質面に平行に薄切した所見では, 核は円形または楕円形で核質は均質となり, 核小体はよく発達したものが1～4個認められた。ミトコンドリアは棒状または長杆状で, なかには複雑な形態を示すものも認められた。rERは小型なものが多く, Golgi装置は典型的な形態を示すものが1～2個核付近に見られた。リボゾームは細胞質全体に豊富に認められ, ライソゾームの数は細胞により異なるが, ほぼ全細胞に見られた。デスモゾームおよびトノフィラメントは上皮細胞の特徴であるが, トノフィラメントの量は細胞によりin vivoにおける基底層と有棘層の細胞にみられる程度の差が見られた。デスモゾームはむしろ有棘層の細胞に見られるものに類似しよく発達したものが多かった。これらの所見より遊出細胞はその起源である口腔粘膜上皮の特徴をよく維持し, in vivoにおける基底層および有棘層の細胞であり, これらの細胞は創傷部に見られるrepair cellと同質の細胞と考えられた。

Functional oromandibular reconstruction using a sternum pectoralis major osteomyoctaneous composite flap

A case in which a partial defect of the mandible and an extensive defect of the adjacent soft tissue were reconstructed by using a composite osteomusculocutaneous flap of the pectoralis major with sternal bone, is presented.