Naoharu Yamaguchi

Rapid nitrogen analyzer for iron and steel by oxidizing fusion-thermal conductivity measurement

鉄鋼中の窒素定量法として,試料に酸化鉛などの酸化融剤を加えてヘリウム気流中で加熱溶融し,分解生成ガス中の酸素,水素および二酸化炭素などを,酸化銅,金属銅およびモレキュラーシープなどを用いて除去したのち,熱伝導度セルを用いて熱伝導度の変化を測定して窒素量を求める方法を開発した.本法は反応管が開放式のため,試料のそう入および交換が迅速容易で,また分析操作も簡単であった.検量線はよい直線性を示し,窒化物はほぼ完全に分解,抽出され,普通鋼およびステンレス鋼について,湿式化学分析法の値とよい一致を示した.再現性は変動係数で3～5%で,定量下限は10ppmであった.なお,本法は磁器るつぼを用いるため分析価格が低れんで,処理量の多い日常作業分析に適している.

Mass spectrometric analysis of impurities in oxygen

酸素の電子衝撃法による質量スペクトルには酸素自身の分子イオンおよび断片イオンのピーク以外にM/e=12,14,28,44などにピークが観察されるが,これらは酸素とイオン源および電離真空計などのフィラメント中の炭素との反応によって生成した一酸化炭素および二酸化炭素によること,およびそれらのピークのパタン係数の再現性がわるいことを確認した.酸素の質量スペクトルには上述のような現象があるため,酸素中の微量不純物は試料の前処理なしには質量分析法で分析することはできない.そこで金属銅吸収法(700℃)によって不純物を濃縮し,内標準としてヘリウムを用い質量分析計で分析する方法を検討した.市販の工業用圧縮酸素中には窒素:0.02～0.2%,アルゴン0.01～0.4%が検出された.なお本法による窒素,アルゴンの定量下限は5ppmである.