Osamu Katayama

Characteristics of Astringent Japanese Persimmon (Diospyros kaki LINN. cv. Sanja) at Various Stages of Development

富山県西部で主に栽培されている三社柿果実の成育過程における性状の変化を調べた.柿果実は1984年8月6日から11月20日までほぼ10日毎に採取した.なお,11月10日採取の果実は適熟,11月20日の果実は過熟であった.(1) 10月10日以降,果皮色からの熟度の判定には測色色差計によるa値およびカラーチャートが有効であった.(2) 実験開始初期の可溶性タンニン含量は約4%であり,その後成育とともに減少し,適熟時には約1.5%であった.(3) 高速液体クロマトグラフ(HPLC)で測定した果糖,ブドウ糖,ショ糖含量は,8月6日に採取した果実ではそれぞれ1.6%, 2.3%, 0.6%であった.その後10月1日まで果糖とブドウ糖含量はほとんど変化しなかったが,ショ糖含量は徐々に増加し,9月20日にはショ糖の方が多くなった.10月1日以降は果糖,ブドウ糖も増加し始めたが,過熱に至るまでショ糖が最も多く含まれ,適熟時にはそれぞれ3.3%, 3.9%, 4.4%,過熟時には3.9%, 4.5%, 6.1%であった.(4) 屈折計示度とHPLC測定による糖合計値との差は,未熟果では極めて大きく,その後成育につれて小さくなった.渋柿果実の糖含量を屈折計示度だけから推定することは困難と思われた.(5) 実験期間を通じて総ペクチンと塩酸可溶性ペクチンが減少し,果実硬度は10月1日以降急激に低下した.(6) 水分,総アスコルビン酸,粗繊維は減少傾向を示した(7) 粗タンパク質,灰分,滴定酸度の変化には明瞭な傾向がみられなかった.