Ryoji Kawashima
Kyoto University
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Publication
Featured researches published by Ryoji Kawashima.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1992
Tohru Matsui; Tadashi Harumoto; Hideo Yano; Ryoji Kawashima
鋼(Cu)とセレン(Se)を補給するために,これら元素を含む水溶性ガラスを,放牧中の雌牛に経口投与した.放牧開始2ヵ月後に,7頭の黒毛和種雌牛に水溶性ガラスを投与し,他の7頭を対照とした.採食草中Cu含量は乾物当り5.5から8.2mg/kgの範囲であった.この結果から,これらの放牧地で飼育されている牛に,Cuを補給することが望ましいと考えられた.またすべての採食草中Se含量は乾物中50μg/kg未満であり,牛のSe要求量をかなり下回っていた,血漿中Cu濃度は,水溶性ガラス投与により増加し,投与後3ヵ月間の血漿中Cu濃度は対照牛と比べ有意(p<4.01)に高かったが,4ヵ月以降では差は認められなかった.血漿中セルロプラスミン活性は,血漿中Cu濃度とほぼ同様な変化を示した.血中Se濃度は放牧期が進むにつれていずれの牛でも減少し,この傾向は対照牛で著しかった.水溶性ガラス投与2ヵ月後には,ガラス投与をした牛におけるSe濃度は,対照牛と比べ有意(p<0.05)に高かったが,それ以降は両区の間に差は認められなかった.しかしながら,投与4ヵ月後までは対照区では血中Se濃度の正常値下限であると考えられている20μg/l未満を示す牛が2頭いたが,投与区ではすべての牛のSe濃度がこの値を上回っていた.血漿中クレァチンフォスフォキナーゼ活性は,水溶性ガラス投与の影響を受けなかった.以上の結果から,水溶姓ガラス投与により,少なくとも3ヵ月間はCuおよびSeの補給が可能であることが示された.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1992
Wanwisa Junluang; Fumiko Yano; Hideo Yano; Ryoji Kawashima
めん羊を用いて高P飼料から低P飼料への切り換えと低P飼料の継続給与がめん羊の唾液流量,第一胃水分バランス及び血液成分に及ぼす影響を検討した.第一胃および十二指腸フィストラを装着した去勢雄めん羊(平均体重50kg)6頭に,チモシー乾草98%(6.0cm切断)とばん砕大麦2%からなるP含量が維持量程度に低い飼料(低P:1.8g/d)とそれにNa2HPO4•12H2Oを添加した高P飼料(高P:4.0g/d)を1日2回給与した.高P飼料で12日間の予備飼育の後,3日間血液,第一胃内容物および十二指腸内容物を採取した.この後低P飼料へ切り換えて7日間の予備飼育の後,続く3日間のサンプリング期を4期もうけ,合計40日低P飼料での飼育を行なった.なお非吸収マーカーとしてPEG4000を第一胃内に注入した.血漿P濃度は低P飼料に切り換えてもすぐには変化せず,有意に低い値となったのは低P飼料給与後約1ヵ月であり,しかも血漿P濃度はその後再び増加する傾向が見られた.なおBUN濃度が血漿P濃度とは逆の動きを示し,唾液分泌量の減少との関係が推察された.第一胃内溶液P濃度は高P飼料から低P飼料への切り換え直後から有意な減少を示した.第一胃液流出速度は11.3%/h(高P)から8.8,8.6と7.1%h(低P)にまで低下したが第一胃液量に変化は認められなかった(高P:8.21;低P:7.8,8.5,9.31).第一胃内容液量および流出速度から算出した唾液流量は変動は大きいが低P飼料給与により減少する傾向が見られた.めん羊では低P飼料給与時の初期の段階では体内からのPの損失を防ぐために唾液流量を抑え,第一胃水分バランスに影響を及ぼしているようであった.またこの時期には血液よりも第一胃内容液中P濃度の方がめん羊のP代謝の目安としては適切であると考えられた.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1991
Masaya Katsumata; Hideo Yano; Akira Miyazaki; Ryoji Kawashima
高温暴露がラットにおける血漿中のグルカゴンおよびインスリン濃度,ならびにグルコースと脂肪酸の動員に与える影響について検討した.12週齢のウイスター系雄ラット(平均体重359g)を26°と33°の2グループに分け,13gの市販粉末飼料を毎日午前10:00に与えて飼育した.16日目から,5日間全尿を採取し,尿への窒素排出量を測定した.22日目から32日目にかけて,給餌後2,4,8,16,24時間後に全ラットの頚静脈より1mlの血液を採取し,血漿を得た.最終の血液採取後,全血を腹部大動脈より採取して血清を分離した.また,精巣上体脂肪組織量を秤量し,ラットの体脂肪量の指標とした.高温環境下では,血液中のグルコースならびに遊離脂肪酸濃度が有意に低く,精巣上体脂肪組織量は高かった.エネルギー源としてのグルコースならびに脂肪酸動員の低下が,高温環境下におけるラットの体脂肪量の上昇に関連しているものと考えられた.一方,血漿中のグルカゴンおよびインスリン濃度は高温暴露によって変化しなかった.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1988
Motohiko Ishida; Akira Miyazaki; Ryoji Kawashima
飼料としての牛糞の化学的,栄養学的特質を細胞内容物画分(CC)と細胞壁構成物質画分(CW)とに分画する分析法によって評価するための予備的な知見を得ることを目的とした実験を行なった.供試牛糞は,粗飼料を多給された肉用種繁殖牛の糞2点と濃厚飼料を多給された肥育牛の糞2点であった.CW含量は,中性デタージェント(ND)法で測定した場合が蛋白質分解酵素,プロナーゼで処理する酵素法で測定した場合よりも低かった,ND処理によって,牛糞の窒素成分,リグニンならびに灰分が,酵素法によるよりも多く除去された.牛糞をND処理したのち,めん羊の第一胃内細菌で消化するin vitro法で測定した乾物消化率は,プロナーゼ処理したのち,第一胃内細菌で消化する方法で測定した乾物消化率よりも高かった.このin vitro試験の結果から,ND処理は酵素処理よりも第一胃内細菌が消化できない牛糞中の細胞壁成分を多く除去することが示唆された.以上の結果から,牛糞の飼料特性を評価する場合にこは,CCとCWとに分画する方法としては,酵素法の方がND法よりも適していると思われた.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1987
Motohiko Ishida; Kenji Fukui; Shinichiro Nagao; Akira Miyazaki; Ryoji Kawashima
異なる給与飼料条件で飼育された牛が排出した糞の化学成分組成と栄養価を比較, 検討した。青刈トウモロコシ・ソルゴー20kgとふすま1kg (1日1頭あたりの原物重量) を給与された黒毛和種繁殖雌牛の糞, 稲わら1kgと配合飼料9kgを給与された肥育中のホルスタイン種去勢牛の糞 (肥育牛糞A), 稲わらを自由採食, 配合飼料を8kg給与された肥育中のホルスタイン種去勢牛の糞 (肥育牛糞B) および牧草サイレージ, ウイスキー粕, 稲わら等から成る粗飼料を24kg, 配合飼料を9kg給与された泌乳牛の糞をそれぞれ採取し, 60-90℃で通風乾燥したものを供試した。牛糞の化学成分は酸素分析を中心にした分析法で求めた.可消化粗蛋白質 (DCP) と可消化養分総量 (TDN) の含量および細胞内容物 (CC) と細胞壁構成物質 (CW) 画分のみかけの消化率をあん羊を用いた消化試験によって測定した。肥育牛の糞には繁殖牛糞に比べて, CC, “CC内粗蛋白質”とデンプンが多く含まれていた. CW中のリグニン含量は肥育牛糞と泌乳牛糞の方が繁殖牛糞よりも低かった. DCP含量 (乾物%) は肥育牛糞A, 肥育牛糞B, 泌乳牛糞がそれぞれ7.6, 6.8, 5.8で, 繁殖牛糞の3.1よりも高かった。TDN含量 (乾物%) は肥育牛糞A, 肥育牛糞B, 泌乳牛糞がそれぞれ51.2, 40.2, 37.9で, 繁殖牛糞の17.7よりも高かった. 消化率の測定結果から, 牛糞中のCC画分はめん羊によってほぼ完全に消化され, 牛糞中粗蛋白質 (CP) は酸素分析によって消化性の高い“CC内CP”と消化性の非常に低い“CW内CP”とに分けられると推定した. また, 牛糞のCW画分の真の消化率は供試した牛糞ごとに異なることが示唆された. 以上の結果から, 牛糞の栄養価は給与飼料の飼料組成や飼料摂取量によってかなり大きく変動することがわかった.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1987
Yasuko Togamura; Akira Miyazaki; Ryoji Kawashima
22.5kg/cm2の水蒸気圧で, 1, 1.5, 2, 3, 4分間加圧し, 爆砕処理を施した稲わらを用いて, まずin vitro消化率を測定し, 最適処理時間を検討した. その結果, 2分間処理した稲わらのin vitro有機物 (OM) 消化率は, 無処理のものと比べ, 51%から77%へと大幅に改善された. しかしそれ以上長く加圧しても, 消化率の改善はみられなかった. 上記の結果にもとづき, さらに爆砕稲わらの, 反芻家畜に対する栄養価値を調べるために, 6頭の去勢めん羊を用いて消化試験を行なった. 乾草40%とふすま60%から成る基礎飼料と, 基礎飼料の30%を, 稲わらあるいは, 2分間処理した爆砕稲わらとにそれそれ置き換えた飼料を, 3×3ラテン方格法で給与した. 稲わらのOM消化率は, 爆砕処理によって43%から53%へと上昇した. OM消化率の改善は主に, 稲わらの主成分である細胞壁構成成分, なかでも特にセルロースの消化性の改善によるものであった. また, 処理によって可消化エネルギーと代謝エネルギーは, それぞれ, 1.67から2.16へ, 1.31から1.75Mcal/kg DMへと高まった. 窒素蓄積量は爆砕稲わらを給与したとき, 無処理の稲わらを与えたときに比べ, いくぶん低くなったが, 有意差は認められなかった.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1986
Yoshihiro Kanagawa; Nozomu Kuramitsu; Tohru Matsui; Masahiro Nakanishi; Hideo Yano; Ryoji Kawashima
体重約130~140kgのホルスタイン雄子牛10頭を用い,低タンパク質または低カロリー飼料摂取が子牛の骨成長ならびに骨代謝に及ぼす影響について検討した.試験開始時に2頭を屠殺し,残り8頭を以下の4区に分け,それぞれの飼料を自由摂取させ,12週間飼育した.1) 正常タンパク質•正常力ロリー区(NN),2) 正常タンパク質•低カロリー区(LC),3) 低タンパク質•正常カロリー区(LP),4) 低タンパク•低カロリー区(LL).試験終了後全頭屠殺し,下顎骨,脛骨を採取した.体重の増加はNN, LC., LP, LLの順に大きかった.低栄養区において下顎骨骨長,骨幅,脛骨骨長,骨幅,皮質骨幅はNNのものと比べ小さかった.骨灰分密度•骨ミネラル含量はいずれの区においても差は見られなかったが,骨中アルカリ性フォスファターゼ活性および骨中酸性フォスファターゼ活性はNNが高い値を示した.血清中成長ホルモン濃度はいずれの区も大きな変化が見られなかったが,血清中サイロキシン濃度は低栄養区において低下し,このことが低栄養条件下における骨成長の抑制に関与している可能性が示唆された.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1983
Tohru Matsui; Hideo Yano; Ryoji Kawashima
反すう動物におけるカルシウムとリン代謝に及ぼす内分泌腺の制御機構を明らかにすることを目的とし,めん羊を用いて,甲状腺の摘除(TX)と,甲状腺と上皮小体の摘除(TPTX)とを実施し,カルシトニンまたはカルシトニンと上皮小体ホルモンの分泌を欠除させた場合における血清中カルシウムとリン濃度,骨吸収の指標である血清中ハイドロキシプロリン濃度,および尿へのカルシウムとリンの排泄に及ぼす影響について検討した.血清中カルシウム濃度はTPTX処理後2日目までは低下し,以後次第に回復した.血清中ハイドロキシプロリン濃度もカルシウム濃度とよく似た変化を示したことから,上皮小体ホルモン欠乏は骨吸収の低下によって血清中カルシウム濃度を低下させると考えられた.血清中カルシウムとハイドロキシプロリン濃度の回復は長期の上皮小体ホルモン欠乏への適応,すなわち血清中リン濃度の低下により増加した活性型ビタミンD3の働きによるものかもしれない.TPTX処理により血清中リン濃度は明らかに低下したが,この低下は上皮小体ホルモン欠乏によるものであろう.尿中カルシウム排泄量はTPTX, TX,無処理めん羊の順に高かった.尿中リン排泄量は,TPTXめん羊および無処理めん羊に比較するとTXめん羊で著しく低い値となった.これらの結果から,めん羊におけるカルシトニン欠乏は尿中カルシウム排泄量の増加,リン排泄量の減少を,上皮小体ホルモン欠乏は尿中カルシウム排泄量の増加を引き起すものと考えられた.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1983
Tohru Matsui; Hideo Yano; Ryoji Kawashima
反すう動物におけるカルシウムとリン代謝に及ぼすカルシトニンの意義および調節機構を明らかにするために本試験を行った.甲状腺摘除(TX)または擬似手術(Sham)をしためん羊に,経口的にカルシウムを負荷し,血清中カルシウム,リン濃度,骨吸収の指標である血清中遊離ハイドロキシブロリン(Hyp)濃度,尿中全Hyp排泄量,骨形成の指標である尿中ポリペプチド態Hyp排泄量,血清中上皮小体ホルモン(PTH)濃度および尿中カルシウム,リン排泄量を調べた.すべてのめん羊において,カルシウム多給により,カルシウムの血清中濃度,尿中排泄量ともに増加傾向を示したが,この増加は特にTXめん羊で著しかった.血清中リン濃度はカルシウム負荷によりすべてのめん羊で低下した.Shamめん羊においては,カルシウム負荷により尿中リン排泄量が減少したが,TXめん羊ではその減少はわずかであった.カルシウム多給により,Shamめん羊において血清中遊離Hyp濃度,尿中全Hyp排泄量および血清中PTH濃度が低下した.カルシウム多給により,Shamめん羊では尿中ポリペプチド態Hyp排泄量が増加したが,TXめん羊ではわずかに変化しただけであった.これらの結果から,カルシウム負荷時においては,カルシトニンは骨吸収を抑制し,骨形成を促進すること,またカルシトニンの腎臓に対する作用は,骨への作用より弱いことが示唆された.またカルシウム負荷により血清中PTH濃度が低下したが,このPTH濃度の低下も骨吸収の抑制にいくらか関与しているものと考えられた.
Nihon Chikusan Gakkaiho | 1978
Hideo Yano; Shoyo Sakurai; Ryoji Kawashima
第1試験では3頭のめん羊を用いて重炭酸ナトリウム投与が血液中酸塩基平衡と血清中ミネラル濃度に及ぼす影響について検討した.第2試験では,低カルシウム飼料と高カルシウム飼料を給与しためん羊各3頭に重炭酸ナトリウムを給与した場合の尿および血清中ミネラル濃度の変化を調べた.重炭酸ナトリウム投与により,血液pHおよびH2CO3濃度は上昇の傾向があり,血液中HCO3-濃度は有意に増加した(P<0.05).また血清中カルシウム濃度は低下,血清中リン濃度は増加の傾向が見られた.重炭酸ナトリウム投与は尿中カルシウムとマグネシウムの濃度および排泄量を減少させ,尿中リンの濃度および排泄量を増加させる傾向にあった.以上のことから,体液がアルカリ性の状態に傾くと尿中カルシウムとマグネシウムの濃度および排泄量は減少するが,尿中リンはそのような変化を示さないものと考えられる.さらにアルカリ剤(重炭酸ナトリウム)の投与は尿結石症の発生防止には有効でないことが示唆された.