Wasaburo Kawai

Reaction of Phenol and Butadiene under the Oxygen Pressure.

フェノールがラジカル反応を受けるとき,phenoxy radicalを生成することが知られている。本報は酸素下のフェノールの酸化によって生ずるphenoxy radicalをブタジエンと反応させるとき,付加反応化合物(キノン型)を得ることを見出し,フェノールをオレフィンに付加させる一方法として,また重合禁止剤として作用するときの中間体として興味あるものと考えられた。

Infra-red Spectrum and Crystalinity of Block Copolymers with Polyacrylonitrile

前報において, ポリアクリロニトリノレのスチレン, 酢酸ビニル, メタクリル酸メチルとのブロック共重合体の合成について報告したが, 本報は, 赤外線吸収スペクトル測定によって, ブロック共重合体であることを, より確かにし, またX線解析によって, ポリアクリロニトリルのブロック共重合体の結晶度変化を調べた結果について報告する。

Polymerization of Styrene by Bifunctional Peroxides

二官能性ペルオキシドによるビニル重合を検討する目的で,数種のペルオキシドを合成し,スチレンをモノマーとして,その重合挙動を調べ,ジ-tert-ブチルペルテレフタレートによる場合には,いままでと異なった知見が得られ,バイラジカル重合の示唆を得た。

Grafted Polystyrene with Acrylonitrile and Its Frictional Properties in Dilute Solution.

グラフト高分子の溶液の性質の研究の一環として,ポリスチレンにアクリロニトリルを接枝させ,ベンゼン-メタノール系のcriticalconsolutesolventを用いて[η]θを求め,これより線状高分子およびグラフト高分子の膨張に関するパラメーターαを求めた。ただし,グラフト高分子のαについては,いわゆる線状高分子のα とは異なった意味を有する。ついで速度勾配下の粘度測定から,グラフト高分子はずれ速度(rateofshear)の影響を受け易いことがわかった。

Chemical Reactions of Polypropylene

Nattaはトリエチルアルミニウムと四塩化チタンまたは三塩化チタンによりプロピンの重合を行ない, isotactic と atacticの2種のポリプロピレンの得られることを発表した。本報はNatta法によって得られたポリプロピレンの化学反応に関する研究である。その一つは n-ヘプタン抽出分である stereoblock polypropylene の臭素化とヒドロペルオキシ化であり,さらにそれを stock polymer とするグラフト重合である。その二はエーテル抽出分である atactic polypropylelle のエポキシ化とそれを枝とし,アミノ基を有するポリマーとの反応によってグラフト重合体をうることである。