Akira Nagahama

A case of peritnitis caused by perforated appendiceal diverticulum.

I. は じめ に 虫垂 憩室 は欧 米で は諸 家 に よ り数多 く報 告 されて い るが, 本邦 で は比較 的 まれ な疾患 で あ る. 今 回われ わ れは虫 垂憩 室穿 孔 に よる腹 膜 炎の1例 を経験 した ので 文 献的 考察 を加 え報告 す る. II. 症 例 患者:K.O.52歳 男 性.職 業:医 師 主訴:発 熱,右 下 腹部 痛 既 往 歴:12歳 の 時 鼠径 ヘ ル ニ ア の手 術 を 受 け て い る. 家族 歴:特 記 すべ き ことな し. 現病 歴:昭 和58年11月24日,胃 癌,総 胆 管結 石症 の 診断 に て,胃 亜 全摘,脾 摘,胆 別 総胆 管切 開 ドレナ ー ジを 施行 した.術 後 経過 は 良好 であ った が,第20病 日 目よ り発 熱,右 下腹 部痛 が 出現 した. 現 症:体 格,栄 養中等 度,体 温37.1°C,脈 拍88/分, 整,血 圧110/70mmHg,貧 血,黄 疸 な し.胸 部 は理学 的 に異 常所 見 な し.腹 部 は平担 で右 下腹 部 に著 明な 自発 痛 お よび筋性 防禦 あ り.Mc-Bumey氏 点,Lanz氏 点 に圧 痛 を認 めた.Blumberg徴 候,Rosenstein徴 候, Rovsing徴 候 は いずれ も陽 性で あ った. 検 査所 見:白 血 球 数17,300/mm3,赤 血 球 数412万/ mm3,Hb量12.3g/dl,Ht値37.5%,肝 機 能検 査異 常 な し,尿 糖(一),尿 蛋 白(一). 腹 部単 純撮 影:下 腹 部 に小腸 ガス像 が認め られ た. 注腸造 影:胃 癌 お よび総 胆管 結石 の術 前 の注腸 造影 所 見を 再検討 した と ころ,盲 腸 か ら上行 結腸 に かけ て 多 数の 憩室 が認 め られ,虫 垂根 部 に も2個 の憩室 が認 め られ た(図1). 以上 の所見 よ り,急 性 虫垂炎 も し くは憩室 炎 の診 断 の も とに手術 を施 行 した.