Hiroe Oikawa

Diagnostic Efficacy and Validity of the ThinPrep Method in Cervical Cytology

OBJECTIVE To examine the efficacy of the ThinPrep method, an automated, fluid-based technique for the collection and preparation of exfoliated and aspirated cells in cervical cytology. STUDY DESIGN A total of 251 patients participated. From each patient a sample was obtained by scraping with a wooden spatula, split and prepared with both conventional Papanicolaou and ThinPrep methods. In the ThinPrep processor, epithelial cells were homogenized in a vial of preservative solution and randomly sampled onto a microscopic slide. From a single vial of sample suspension a series of 10 ThinPrep slides of the same quality were made. All cells were concentrated within an approximately 20-mm-diameter circle in a uniform, thin layer on the ThinPrep slide. RESULTS Twenty-five percent of the screening area, 10% of the epithelial cells observed and 50% of the screening time were required to arrive at a final diagnosis as compared with the Papanicolaou smear. Virtually complete concurrence was ascertained between the Papanicolaou and ThinPrep diagnoses, for direct agreement of 95.3% and agreement within one diagnostic grade of 99.5%. CONCLUSION An overall improvement was ascertained in the preparation of microscopic slides and the recognition of abnormal cells with the ThinPrep method.

A case of heterologous carcinosarcoma appearing on the uterine body.

子宮体部原発の癌肉腫は, 子宮体部悪性腫瘍において比較的まれな疾患で, 閉経後の女性に発生することが多い. 今回われわれは88歳の高齢女性にみられた子宮体部原発異所性癌肉腫の症例を経験した. 患者は不正性器出血を主訴に近医を受診し, この時の子宮内膜組織診において壊死組織の中に軟骨組織が認められ, 子宮体部癌肉腫が疑われた.再度行った細胞診では頸部, 内膜ともに, 壊死性背景に類内膜腺癌ならびに核異型を伴う扁平上皮化生細胞が出現していた. 手術標本中には扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌と同所性肉腫成分が認められた. 術前の内膜組織診で軟骨組織が認められたことと手術標本の病理所見を考慮して, 子宮体部原発異所性癌肉腫と診断した. 細胞像, 病理組織像とともに免疫組織化学的検索も含めて報告する.

Analysis of interobserver reproducibility and its improvement in endometrial cytology.

子宮内膜細胞診における「観察者間の判定再現性」を解析するため, 内膜腺癌・増殖症および非腫瘍性変化を含む70個の上皮性細胞クラスターについて, 19人の経験豊かな観察者 (11人の細胞検査士と8人の指導医) に異型度判定を依頼した. 判定は, 各観察者が70個のクラスターのそれぞれに対し3種のカテゴリー (「陰性」,「疑陽性」および「陽性」) の中の一つを与えるものとした. 判定一致の程度はKappa (κ) 統計値を用いて表した。全体の一致はκ=0.36, 判定カテゴリー別の一致は「陰性」に対しκ=0.46,「陰性」に対しκ=0.47,「疑陽性」に対しκ=0.14であった.観察者が一堂に集まりこれらの結果を検討学習する機会をもち, その後2回目の異型度判定を依頼した. その結果, 全体でκ=0.48,「陰性」でκ=0.55,「陽性」でκ=0.61と著しい再現性の改善が認められた. しかし「疑陽性」についてはκ=0.22, 観察者間で依然として混乱のあることが示された. これは, 内膜増殖性病変における「疑陽性」の取り扱い基準が確立していない現状を反映しており, 早急なコンセンサス作りが必要である.

Cytological findings of cervical adenocarcinoma.

異型度の低い分化型子宮頸部腺癌の細胞像を検索するために, 細胞診上疑陽性であった分化型子宮頸部腺癌13例について, おもに核計測を中心として細胞診標本を検討し, 以下の結果を得た.1) 異型細胞にはside by side配列をなすところが認められ, クロマチンが増量していた.2) 核の大きさが増大していない異型細胞も認められた.3) 核の大きさが増大しているものも核の大きさが増大していないものも, 核の大小不同および多形性は軽度であった.4) 核の大きさが増大していないものでは, 核形がより細長いだ円の傾向を示した.以上のような異型を示す細胞の出現をみるときは, 分化型子宮頸部腺癌の存在を念頭におくことが必要と考えられる.

Screening of the uterine cervical adenocarcinoma - Cytological analysis in cases of followed-up patients.

頸部腺癌は近年増加傾向が指摘されているが, その初期のものは細胞診上陰性と判定されやすい.本研究では, 集検における頸部腺癌のスクリーニング上の注意点を知るために, 集検初診時に発見された初期腺癌12例, 一定期間のfollowup後に発見された初期腺癌11例の細胞所見を詳細に検討した結果つぎの結論を得た.1.過半数 (13例) に扁平上皮型異型細胞の存在を認めた.したがって, 扁平上皮型異型細胞の存在する場合は, 同時に腺型異型細胞の有無に注目する必要がある.2.スクリーニング上癌の基準を満たさない腺型異型細胞に着目する必要があり, その所見は不規則重積性, 柵状配列, 核小体肥大である.3.腺型異型細胞が持続し生検陰性の場合は, 早い時期に円錐切除による確認を行わなければならない.